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今のぼく、そして過去のぼくのこと。


by cheaptrip
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新シキ物ハ何モ無シ

新シキ物ハ何モ無シ_a0005432_132343.jpg普段から新譜にほとんど関心のないボクですが、
ブロードバンド開通後、CDを全く買っていないボクです。
インターネットラジオって素晴らしい。好きなブルースばっかり掛けているステーションにアクセスするだけで、結構快適に仕事できます。しかも無料だし。
余計なお世話ですが、どうやってタダで運営しているのだろう。

そんな中でここ10日くらいほとんど毎日のように聞いてます。
ハウンドドッグ・テイラー(写真参照)10年以上前に買ったCDですが、未だに飽きずにしばしば聞いているお気に入りのひとつです。

彼が率いるバンド(といってもリズムを刻むギターとドラムの二人だけですが)
ハウス・ロッカーズがつくり出すタイトな演奏をバックに華麗なスライドギター
(左手の薬指にガラスの瓶のクビレてるとこや、金属のパイプなどをはめて、フレッド上を滑らせるようにして演奏する)でブルースのスタンダードナンバーを、それこそかっ飛ばすように演ります。そして、しわがれた声で『オレのカツラを返してくれよ!』などと高らかに歌い上げます。

はじめて聞いたのはNatural Boogieというアルバムですが、1曲目で、その不思議な音の世界に目が回る思いでした。

古典ブルースの雑なフォロワーという辛口な御意見もあるようですが、ブルースでは踊れない、といったイメージを根底からひっくり返すように、彼らの演奏は自然と体が動きます。ジェームス・ブラウンは8ビートで独特のグルーブをつくり出すことに成功しましたが、ハウンドドックは2ビート、4ビートのまま、自然にそれをやってのけた。
恐らくは彼のアイドルだったであろう、マディ・ウォーターズもエルモア・ジェイムスもこんな音空間は作れなかった。そう考えると、凄いアーティストだと思うのですが。

とにかく弾きまくります、たった3人でやっているとは思えないほど分厚い演奏です、エネルギーが有り余って仕方がない、といった感じです。

いちどハウンドドックの音が体に入った瞬間、しばらく聞かなくなると禁断症状が出ますよ。

そんなハウンドドックは1917年生まれ、20歳頃からギターを手にして、南部アメリカのジュークジョイントで演奏しながら1940年代に職を求めてシカゴへ向かいます。バーなどで日銭を稼ぐ演奏を続けながら、フルタイムのプロミュージシャンになったのは、1950年代の終わり頃というわけですから、40才目前まで、生活は大変だったんでしょう。

はじめてのシングル盤は1960年代初頭。小さなローカルレーベルだったようですが、中々の好セールスを記録するも、フルアルバムを制作するに至るのは、更に後の事で1971年のこと。50歳を過ぎてからのことです。

2枚のスタジオ盤をリリースした後、1975年に亡くなりました。

70年代のライブ録音がいくつかCD化されておりますが、スタジオ盤もライブ盤もどっちもスコブル良いです。ぜひお試し下さい。
by cheaptrip | 2004-05-06 13:24 | BLUES